レポート
レポート 村林桂建築設計事務所 村林 桂
まず、セントラルパーク近くにあるRouge Tomate。
古いお店をリフォームしたもので、無垢の板材や布、ガラス、鉄などをバランス良く配置し、落ち着いたインテリアに仕上がっていました。間接照明を多用した高級感のある上品な雰囲気は、まさに設計者ベンテルさんの印象にぴったりでした。



タクシーを飛ばしてマディソンスクエアパークへ。この公園横にある古いビルの1階にレストランEleven Madison Parkがあります。
重厚な石積みのビルに相応しいレトロな雰囲気に仕上げられたインテリアは素材の使い方が絶妙で、特に天井や手摺に仕込まれたアイアンワークは見ごたえのあるものでした。


最後に、マンハッタン南西のチェルシー地区へ。この地区は、かつての古い工場や倉庫をリノベーションしたモダンなギャラリーやレストランが歴史的建物と共存するニューヨークの新名所。30年前に廃線となった貨物用高架鉄道を遊歩道として再利用した「ハイライン」や、元ナビスコの工場を改装した巨大市場の「チェルシー・マーケット」は有名で、そんな街角にベンテルさん設計のステーキハウスCraftsteakがあります。
やはり古い建物をリフォームしたお店で、露出した古い鉄骨柱をポイントにデザインされた内観は、レトロとモダンが同居した不思議な空間でした。日本では古くなるとすぐ解体して建て替えるのですが、歴史が浅いアメリカで、しかもニューヨークの真ん中で、古い建物を大切にリノベーションしながら豊かな町並みを再構築している現実に触れ、本来の建築家の仕事を見たような気がしました。




今日訪れた4件のレストランは、すべて既存の建物の内装として設計されたものですが、その場所性や都市の文脈を鋭く読み取って、それぞれの環境に適した空間を創出しているベンテルさんの力量に感服しました。「その土地の歴史、地域のスタイル、一般的な建築手法、環境状態や周囲の景観あるいは都市背景など現場からインスピレーションを得て設計する」という建築家としての姿勢が、そのまま作品に表れていました。
その晩、ベンテル夫妻を交えて、安藤忠雄氏設計(もちろんリノベーション)のレストランMORIMOTOで懇親会がありました。建築談議に花を咲かせながら遅くまで杯を酌み交わし、ニューヨークの夜は更けてゆきました。

