
家を建てるときの喜びはなんだろう。建築家は日夜、施主に喜んでもらえるアイデアを考え家づくりをプロデュース、デザインする。結果として、人さまを豊かに幸せへと導く。
施主は何を望んでいるのか。高品質で住みやすい、無二の住まい、さらに良いデザイン…。建築家はそうした望みに応える使命がある。施主にとって、その窓口はわずわらしくなく、心地よい方が望まれるはずだ。偉ぶった態度の建築家は敬遠され、頼みやすく技術的にも信頼でき、トータルコスト管理のできる人に訴求性があるはず。つまり、頼みやすい窓口とは商人建築家のことだ。
昔から近江商人には三方良しの精神がある。建築家に置き換えると、お客さんが喜んで大工などの業者が喜び、建築家も喜ぶ。三方良しとなり、世の中も良くなる。みんなが喜ぶことを考えるのが商人建築家である。商人建築家は何事も頼みやすい雰囲気がある。本当のプロは、そういう風情があるもの。難易度の高い条件の建築物であっても一流のプロならさらっと対処するはずだ。
トップクラスの技術と経験に裏付けられたアイデアに加え、総合コスト管理の質、能力の吟味は重要となる。設計費も含めて材料費などを考え、施主からの要望を織り込みながら構造とデザインのアイデアが提案されているかは商人建築家にとっては最も大切だ。今、住まいづくりに求められているのは、施主を思いやる真の優しさがある商人建築家であろう。
岐阜新聞 住まいの心得-建築家のひとりごと-
2010年4月21日水曜日 掲載
らいふくれよん建築家のコラムが、岐阜新聞に毎月掲載されます。日ごろ建築家が設計するうえで感じているコト、心得をコラムとして連載しています。岐阜新聞を目にした際はぜひご覧になって下さい。